賃貸市場減少時代に大家としてはどう行動すべきか ~セミナー「賃貸住宅市場の現状と展望」を聞いて~ | よ~く考えてみると・・・

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先週末、AOA(行動する大家さんの会)の大勉強会に参加してきました。

講演は2つ。


今回はそのうち、

みずほ銀行の調査部の方の講演について、感想などをば。


○賃貸住宅市場の現状と展望 ~2030年の市場規模予測と事業の方向性~

宿利 敬史 様

みずほ銀行 産業調査部 社会インフラ・物流チーム 調査役

みずほ銀行の調査部ということで、

そこらの単なるアンケート結果などと比べて信憑性が非常に高です。

ただし、たくさんの「仮定」のもとでの結果なので、

その仮定がどのくらい確からしい仮定なのかということについても

しっかり検証しながら見ていく必要があります。



講演の要旨としては下記3点

1.2030年の賃貸住宅市場は現在の70%にまでしぼむ

2.1の最も大きな原因は、「ファミリー賃貸市場の減少」

3.2の最も大きな原因は、「若年ファミリー世帯数の減少」



よく、世の中のアンケート結果等により、近年「賃貸派」が増えているとし、

「今後も賃貸住宅市場は拡大する」かのような予測をしている人がたくさんいます。

しかし、この調査では「むしろ減少する。それも30%も。」としています。

それは「若年ファミリー世帯数」が減っているためだとしています。


日本では、年齢を重ねるほど「持ち家率」は上がります。

ある程度の年齢で持ち家を買ってしまえば、以降はその持家に住み続けるからです。

一方で、日本は少子高齢化が進み、

人口ピラミッドを見ると、若年層ほど人口が少ないという状態になっています。


そのため、ここ10年程度では

人口全体としてはそれほど大きくは減少しないものの、

賃貸住宅に住むような若年層は年々減少するわけです。

その賃貸住宅市場にとって最も大きなお得意様である「若年ファミリー層」が

減少するため市場全体の規模が減少すると考えられるわけです。



つまり、

今後、ファミリー向け物件は結構厳しそうだということです。

一方で、シングル向け物件は高齢化、単身化による世帯数の増加により、

当面はそれほど市場は萎まないようです。

さて、

シングル向け物件については、

今後どのように運営していくべきなのでしょうか。

講演中ではあまり言及されませんでしたが、

みずほ銀行が公開しているレポートにその方向性が記載されています。


http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/mif_121.pdf


一言でいうと、「高齢化対応をしましょう」ということです。

この結論に関してはそれほど目新しいものではないのでここでは言及しません。



問題はファミリー向け物件です。

ファミリー向け物件は賃貸住宅市場は萎むと予測されています。

一方で、ファミリー世帯が大幅に減少するわけではありません。


そうなると、経済の原則として、

賃貸向け物件が売りに出されることが多くなると考えられます。

物件を保有していても十分な収益が得られないためです。
その結果、中古ファミリー向け物件が非常に多く世の中に出回ることになるでしょう。

そして、中古物件の値段が大きく下がり、新築に対する競争力が増し、

新築物件が売れなくなるということが考えられます。


もちろん、一方的に新築にしわ寄せが来るわけではなく、

様々な物件種別に様々な影響を及ぼしながら波及するので、

はっきりと新築物件が売れなくなるという状態にはならないかもしれません。


このような市場で賃貸住宅としての価値を出すためには、

価格面での競争力強化には限界があります。

ニーズが減少している市場において低価格を打ち出しても消耗戦になるだけです。

そのため、今後のファミリー物件では、

「持家では実現できないこと」を実現することが最も望ましいでしょう。


それが具体的になんであるかは私にはわかりません。

もしかしたらカスタマイズかもしれないし、

大家主導のコミュニティ形成かもしれません。


ただ、単純なハード面での整備ではなく、ソフト面での対策になることは確かでしょう。



いずれにせよ、

今後、賃貸不動産業界には大きな変革が求められる時代が来ることは確かなようです。

それがどのような変化であるにせよ、その変化のせいですぐさま破産するということはおそらくなく、

様々な対応をしていくことにより、収益を維持していくことは可能であると思います。


つまり、今後も(もちろんこれまでも)、

常に勉強し、進化し続けていくこと以外に、

賃貸住宅の大家が生き残っていくすべはないということです。


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